用語集(さ行)

■債権回収会社

債権管理回収業に関する特別措置法による民間債権回収会社のこと。

サービサーともいう。

不 良債権の処理等を促進するため,弁護士法の特例として,債権管理回収業を法務大臣による許可制をとることによって民間業者に解禁する一方,許可に当た り,暴力団等反社会的勢力の参入を排除するための仕組みを講じるとともに,許可業者に対して必要な規制・監督を加え,債権回収過程の適正を確保しようとす るもの。

 

■債務名義

債務名義とは,強制執行によって実現されることが予定される請求権の存在,範囲,債権者,債務者を表示した公の文書のこと。民事執行法第22条に記載されている。

 

強制執行を行うには,この債務名義が必要。主に確定判決、仮執行宣言付判決、仮執行宣言付支払督促、和解調書・調停調書がある。

 

【民事執行法第22条】

 

1.確定判決(同条1号)

~「100万円を支払え。」又は「○○の建物を明け渡せ。」などと命じている判決で,上級の裁判所によって取り消される余地のなくなった判決を言います。

2.仮執行の宣言を付した判決(同条2号)

~仮執行の宣言(「この判決は仮に執行することができる。」などという判決主文)が付された給付判決は,確定しなくても執行することができます。

3.抗告によらなければ不服を申し立てることが出来ない裁判(同条3号)

4.仮執行の宣言を付した支払督促(同条4号)

5.訴訟費用の負担等の額を定める裁判所書記官の処分(同条4号の2)

6.金銭の支払等を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述(執行受諾文言)が記載されているもの(執行証書、同条5号)

7.確定した執行判決のある外国裁判所の判決(同条6号)

8.確定した執行決定のある仲裁判断(同条6号の2)

9.確定判決と同一の効果を有するもの(同条7号)

 

■差押え

債 権等の強制執行や担保権の実行のために行われる裁判手続きのこと。債務名義により行われ、執行文の付与された債務名義の正本に基づいて実施される。差押が なされると勝手に処分(譲渡等)できなくなる。一般金融機関は余程でないと差押はしない(担保や保証を取っていることもある)が、税の滞納については急に 差押を打たれることもあるので注意が必要。

 

(債務名義)

 

民事執行法第22条:強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。

 

一  確定判決

二  仮執行の宣言を付した判決

三  抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(確定しなければその効力を生じない裁判にあつては、確定したものに限る。)

三の二  仮執行の宣言を付した損害賠償命令

四  仮執行の宣言を付した支払督促

四の二  訴訟費用若しくは和解の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分又は第四十二条第四項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定める裁判所書記官の処分(後者の処分にあつては、確定したものに限る。)

五  金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(以下「執行証書」という。)

六  確定した執行判決のある外国裁判所の判決

六の二  確定した執行決定のある仲裁判断

七  確定判決と同一の効力を有するもの(第三号に掲げる裁判を除く。)

 

■サービサー

債権管理回収業に関する特別措置法による民間債権回収会社のこと。

不 良債権の処理等を促進するため,弁護士法の特例として,債権管理回収業を法務大臣による許可制をとることによって民間業者に解禁する一方,許可に当た り,暴力団等反社会的勢力の参入を排除するための仕組みを講じるとともに,許可業者に対して必要な規制・監督を加え,債権回収過程の適正を確保しようとす るもの。

 

■産活法

産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法。略称は「産活法」。

国際競争力の強化を目指した民主導の戦略的な産業再編等を促していくとともに、ベンチャー等の成長企業による新事業展開、地域中小企業の活性化等を後押しする。

 

制度・資金調達面での支援、支援機関(中小企業再生支援協議会、事業再生ADR、産業革新機構)の設置。

 

計画類型は7つ。

・事業再構築計画

・経営資源再活用計画

・経営資源融合計画

・債権放棄を含む計画

・事業革新新商品設備導入計画

・資源生産性革新計画

・資源制約対応製品生産設備導入計画

 

金融機関が債権放棄をした場合、資産評価損の損金算入が認められている。

 

■事業再生ADR

中立公正な第三者の関与により、裁判外手続(ADR)で再建計画や債務調整に関する合意を得て事業再生を図る制度。

事業再生に係る認証紛争解決事業者(事業再生実務家協会が認証1号で唯一)が、中立公正な立場の専門家を手続実施者予定者として推薦し、当該実施者がADR手続を主宰し、再生計画にういて債権者・債務者間の仲介・調整をし合意を図る。

 

計画は原則3年以内の経常黒字化と債務超過解消が求められ、株主、経営者責任が厳格。

金融機関が債権放棄に応じた場合、原則損金算入が認められる。

再生計画の承認には債権者全員の合意が必要。

費用は高額(5千万円程度)。

 

■事業譲渡

事 業を譲渡(売却)すること。会社全体の事業を譲渡する場合や会社の一部事業を譲渡する場合に使われる商取引。事業を売却する取引のため、譲渡対価(売買 価格)が発生する。通常は金銭での取引。会社分割に比べ、成立までにようする時間が少なく済むことが多い。譲渡対価の算定方法を恣意的に操作すると、後で 詐害行為等で譲渡が無効とされることがあるので注意が必要。事業継続上、許認可の引き継ぎが不可欠の場合には不向き。

 

■自己資本当期純利益率

自己資本(純資産)で当期純利益を割ったもの。

株主の立場から見た収益力。

 

■執行認諾文言付公正証書

「強制執行認諾文言」と言われる文言が記載された公正証書のこと。

この文言が公正証書に記載されると、約束が守られない場合には、裁判所の判決がなくても公正証書によって強制執行(差押え)をすることができる。

 

■実抜計画

実抜(じつばつ)計画。「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画」のこと。“実”と“抜”を採り、「実抜計画」と略して呼ばれる。

 

実 抜計画が策定されていれば、条件変更が行われた場合でも、貸出条件緩和債権に該当しない取扱いとなる。計画期間が5年を超え10年以内であり、かつ、明 らかに達成困難であるとは認められない場合には、進捗状況が確認できない計画策定直後であっても、概ね計画通りに進捗しているものとして取り扱われる。

 

■私的整理

法的手続きによらず、債権者・債務者の話し合いによる合意により再生を果たす方法。

 

■私的整理ガイドライン

私的整理に関し関係者間の共通認識を醸成し、私的整理を行うに至った場合の関係者間の調整手続き等をガイドラインとして取り纏めたもの。

 

企業の私的整理に関する基本的考え方を整理し、私的整理を行うに至った場合の具体的な関係者間の調整手続き、対象となる企業の選定基準、再建計画の要件等を予め定めている。

 

法的拘束力は無いが、金融機関等債権者はこのガイドラインを遵守するよう期待されており、実際遵守されることが多い。

 

■支払督促

支払督促とは,債権者の申立内容だけを審査し,裁判所(書記官)が債務者に対して金銭の支払を督促する手続のこと。

 

こ れに異議がある場合には、督促異議申立書を裁判所に提出する。異議を申し立てると訴訟となる。2週間以内に異議申立書を提出しないと、支払督促に 仮執行宣言が付けられ(確定判決と同一の効力、債務名義になる)、ただちに強制執行を受ける可能性があるので、支払督促を受け取ったら必ず中身を確認する こと。無視してはいけません。

 

■資本性借入金

十分な資本的性質が認められる借入金のこと。資本とみなすことができる借入金、劣後ローン。既存のローンを劣後化(DDS)することによりバランスシートを改善することを意図。平成23年11月に“みなす”ことのできる条件が明確化された。条件は以下。

 

償還条件:5年超

金利設定:事務コスト相当の金利の設定可能

劣後性:必ずしも担保の解除は要しない(一定の条件満たす必要有)

 

■取得条項付株式

一定の事由が発生すると会社が強制的に取得できる種類株式のこと。

 

■取得請求権付株式

株主が会社にその取得を請求できる権利の付いた種類株式のこと。

 

■種類株式

会社法108条1項に規定される株式のこと。

 

(異なる種類の株式)

 

第百八条  株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。ただし、委員会設置会社及び公開会社は、第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。

 

一  剰余金の配当

二  残余財産の分配

三  株主総会において議決権を行使することができる事項

四  譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。

五  当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。

六  当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。

七  当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること。

八  株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社(第四百七十八条第六項に規定する清算人会設置会社をいう。以下この条に おいて同じ。)にあっては株主総会又は清算人会)において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の 決議があることを必要とするもの

九  当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること。

 

■準金銭消費貸借契約

準金銭消費貸借(じゅんきんせんしょうひたいしゃく)契約とは、売掛金など消費貸借によらない債権を消費貸借契約に切り替える契約のこと。準消費貸借の目的物が金銭なので、準金銭消費貸借。

 

民法588条(準消費貸借)

 

消費貸借によらないで金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合において、当事者がその物を消費貸借の目的とすることを約したときは、消費貸借は、これによって成立したものとみなす。

 

■準金消(じゅんきんしょう)

準金銭消費貸借(じゅんきんせんしょうひたいしゃく)の略。

 

■商業手形

実際に行われた商取引について振り出された手形のこと。

支払を手形で行うと、手もと現預金の減少(支払)を一時的に繰り延べられる。

これを振り出せば支払手形、受け取れば受取手形となる。

 

■証書貸付

借用書(金銭消費貸借契約書)を差し入れて融資を受ける方法。

返済期間1年以上の長期借入で使われることが多い。

 

■譲渡制限株式

株式を譲渡により取得する場合、会社の承認を必要とする株式のこと。

 

■少人数私募債

資 金調達手段のひとつ。社債の一種で縁故債ともいう。募集できる数が限られている(50名未満)のが特徴。金融機関からは借入ができないが、知人等で支援 者がいる場合に活用。一般的は借り入れに比べ、金利や返済期間、返済方法等柔軟に設計できる。通常、担保を設定することはできない。

 

■処分禁止の仮処分

不動産に関する権利についての登記(仮登記を除く。)を請求する権利(以下「登記請求権」という。)を保全するためのもの。処分禁止の仮処分の執行は、処分禁止の登記をする方法により行う。

 

■セーフティネット貸付

「セー フティネット貸付」には、「経営環境変化対応資金」と「金融環境変化対応資金」があります。前者は、今般の景況悪化等の影響により売上や利益 が減少している中小・小規模企業、後者は国際的な金融不安等を背景に金融機関との取引状況が変化し、資金繰りに困難をきたしている中小・小規模企業の経営 の安定を図るために、政府系金融機関である日本政策金融公庫(日本公庫)が資金を貸し付ける制度です。

 

長期固定の低金利で融資を受けられるというメリットがあり、中小・小規模企業であれば、原則として業種を問わず、利用することができます。

 

■セール&リースバック

資 産を処分(売却)して、処分した先からその資産を借り受け、使用すること。再生の現場では、担保に供している不動産を売却、売却先より売却不動産の賃貸 を受け、使用するケースが多い。これにより債務の圧縮が図れ、不動産も使用することが可能となる。ただし、借り受ける際に要する費用(一般的には賃料)の 負担に耐えられる財務状況か否かは慎重に検討しなければならない。

 

■全部取得条項付種類株式

全部取得条項付種類株式とは、株主総会の決議によってその全部を強制的に会社が取得できる種類株式のことをいう。100%減資に用いられることが多い。

 

■占有移転禁止の仮処分

債務者占有者には明け渡し請求等できるが、占有者が変わってしまうとできなくなる。これを防ぐため、占有移転禁止の仮処分の申立てを行う。

 

占有移転禁止の仮処分命令の執行がされたときは、債権者は、本案の債務名義に基づき、次に掲げる者に対し、係争物の引渡し又は明渡しの強制執行をすることができる。

 

・当該占有移転禁止の仮処分命令の執行がされたことを知って当該係争物を占有した者

・当該占有移転禁止の仮処分命令の執行後にその執行がされたことを知らないで当該係争物について債務者の占有を承継した者

※占有移転禁止の仮処分命令の執行後に当該係争物を占有した者は、その執行がされたことを知って占有したものと推定する。

 

■総資本回転率

売上高を総資本(総資産)で割ったもの。

投下資本がどの程度の効率で売上を得られたかを表す。

 

■総資本営業利益率

総資本(総資産)で営業利益を割ったもの。

営業活動の効率性を示す。

 

■総資本経常利益率

総資本(総資産)で経常利益を割ったもの。

総資本を用いてどれだけ経常利益を獲得できたかあらわす。

 

■総資本当期純利益率

総資本(総資産)で当期純利益を割ったもの。

総資本を用いてどれだけ当期純利益を獲得できたかを示す。

 

■損益計算書

企業の一定期間の収益と費用の状態を表す財務諸表。経営成績を示す。P/L(ピーエル:Profit & Loss Statementの略)と称されることも多い。

 

■損益分岐点

売上高と費用が同額になる売上高のこと。

売上高が損益分岐点を下回ると損失が発生し、上回ると利益が出る。

 

算出式は、

 

損益分岐点売上高=固定費÷{1-(変動費÷売上高)}